後発医薬品から先発医薬品へ戻った事例
学会
2013年9月15日
大会名 | 第75回九州山口薬学大会 |
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会期 | 2013年9月15日・9月16日 |
会場 | 佐賀市文化会館 ほか |
演題名 | 後発医薬品から先発医薬品へ戻った事例 |
発表形式 | ポスター発表 |
演者名 | 永﨑 一樹、藤田 今日子、宮野 恭彰、矢敷 潤、大串 彩、岡元 みなみ、河野 吉昭、田代 泰理、原田 将吾、福田 淳、水町 隆平、香月 信一郎、木戸 宏幸、湯川 栄二 |
目的 | 患者負担の軽減や医療財政の赤字対策のためにも薬剤師は後発医薬品(以下GEと記す)を普及させる必要がある。GEの認知度の向上、そして一般名処方の普及もあり、変更する患者が増えてきたが効果に十分な満足を得られない等の理由で先発医薬品へと戻す事例が見受けられた。事例が多く見受けられたロキソニン錠とGEとの違いを薬学的観点(溶出挙動、溶出率等)から分析し、今後のGEの継続使用に役立てたい。 |
方法 | 薬学的観点の指標としては、文献検索から得られたロキソニン錠と23種類のGEの3段階のpH(1.2、4.0、6.8)における溶出挙動と水における溶出挙動を測定した文献(ジェネリック医薬品品質情報検討会-製剤試験ワーキンググループ試験結果報告)を参考にした。尚、当局にて採用しているGEはNo.13である。また、平成24年4月~平成24年11月に来局の患者で、先発医薬品→GE(No.13)へ変更した患者を集計し、その中で先発医薬品へ戻した患者から理由を聴取し、年齢、併用薬、溶出挙動、溶出率等から検証した。 |
結果 | 調査対象期間中にGEへ変更した患者は24名、その中で先発医薬品へ戻した患者は4名であった。変更理由としては、効果の発現時間が遅いため(40歳代1名)、鎮痛効果が不十分に感じたため(70歳代2名)、手足に痺れを感じたため(80歳代1名)であった。80歳代の患者はロキソニン錠をGEへ変更した同日にマーズレンS配合顆粒、ザイロリック錠、タケプロンOD錠、リピトール錠をGEへ変更し(5剤共に一般名処方)、後日ロキソニン錠と同時に先発医薬品へ戻している(先発医薬品名の処方+GEへ変更不可とする処方医署名あり)。ロキソニン錠とGE(No.13)を比較すると各pHにおける溶出曲線で差異があり、特にpH1.2において大きな差異が見受けられた。 |
考察 | ロキソニン錠とGE(No.13)の間には、pH1.2における溶出挙動に大きな差異が見受けられた。GE(No.13)は溶出曲線が緩やかであり、15分で溶出率が30%程度、30分を経過した時点での溶出率が75%程度とロキソニン錠に比べて劣っている。この違いが40歳代の患者の効果発現時間に影響を及ぼした要因だと考えられる。しかし、鎮痛効果を不十分に感じた患者には高齢者も含まれており、更にプロトンポンプ阻害薬を併用している等、胃内pHが低いとは考え難いケースも存在する。これに関してはpH4.0、pH6.8においてGE(No.13)の溶出曲線の立ち上がりが緩やかであったことが影響しているとも考えられるが、溶出を開始して30分を経過した時点での溶出率はロキソニン錠とほぼ同等であるため、これらの患者が訴えた鎮痛効果の差異に関しては今後の検討課題としたい。 |