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後発医薬品から先発医薬品へ戻った事例 -ロキソプロフェンナトリウム錠-

論文

2014年3月31日

雑誌名 第一薬科大学研究年報30号
表題 後発医薬品から先発医薬品へ戻った事例 -ロキソプロフェンナトリウム錠-
Cases returned from generic medicine to original medicine
著者名 永﨑 一樹、藤田 今日子、矢敷 潤、大串 彩、岡元 みなみ、河野 吉昭、田代 泰理、原田 将吾、福田 淳、水町 隆平、香月 信一郎、木戸 宏幸、湯川 栄二
要旨 患者負担の軽減や医療財政の赤字対策のためにも薬剤師は後発医薬品を普及させる必要がある。後発医薬品の認知度の向上、そして一般名処方の普及もあり、変更する患者が増えてきたが効果に十分な満足を得られない等の理由で先発医薬品へ戻す事例が見受けられた。特に、当局では後発医薬品A錠から先発医薬品のロキソニン錠へ戻す事例が目立ち、A錠とロキソニン錠との同等性に疑問が生じたが、A錠のインタビューフォームで公開されている水における溶出試験結果では、ロキソニン錠と概ね同等であった。そこで、我々は、第三者機関が作成している水以外での溶出挙動、溶出率等を比較した文献を入手し、それを用いて2剤の違いを薬学的観点から分析し、今後の後発医薬品の継続使用に役立てることにした。平成24年4月~平成24年11月を調査機関としてロキソニン錠から後発医薬品A錠に変更した後、なんらかの理由でロキソニン錠へ戻った事例を調べたところ、後発医薬品へ変更した患者数は24人、ロキソニン錠へ戻った患者数は4人であった。この4人の患者より調査協力の同意を得て理由を聴取し、年齢、併用薬、溶出挙動、溶出率等から検証した。主な理由としては、鎮痛効果が不十分あるいは発現時間が遅いであった。後発医薬品A錠の溶出挙動は、ロキソニン錠に比べてpH1.2ではかなり緩やかであり、pH4.0、pH6.8および水においても緩やかであった。これらの違いが鎮痛効果への不十分さに繋がったものと考えられる。鎮痛効果を不十分に感じた患者には高齢者も含まれており、更に胃酸分泌抑制薬を併用している等、胃内pHが低いとは考え難いケースも存在する。A錠が溶出を開始して30分を経過した時点での溶出率はロキソニン錠とほぼ同等であるため、これらの患者が訴えた鎮痛効果の差異に関しては、今後のさらなる検討が必要である。

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