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患者意識調査による口腔内崩壊錠の有用性の検証

学会

2014年10月12日

大会名 第47回日本薬剤師会学術大会
会期 2014年10月12日・10月13日
会場 山形市民会館 ほか
演題名 患者意識調査による口腔内崩壊錠の有用性の検証
発表形式 ポスター発表
演者名 河野 吉昭、岡元 みなみ、田代 泰理、橋本 彩、水町 隆平、福田 淳、永﨑 一樹、矢敷 潤、香月 信一郎、木戸 宏幸、湯川 栄二
目的 近年、口腔内崩壊錠(以下OD錠)が多く発売され、水なしで服用できる利便性から、患者のベネフィットを向上させる薬剤として注目されている。一方で、多くのOD錠は普通錠と併売されており、品目増加に伴う調剤過誤のリスク増大、薬局の在庫管理の負担増など、問題点も挙げられる。また、患者のOD錠に対する認知度や実際の服用方法等、その実態はあまり知られていない。そこで、我々はOD錠を服用している患者に対しての意識調査を行い、OD錠における普通錠と比較しての存在価値、及び有用性の検証を実施する事とした。
方法 対象患者:OD錠を継続服用している患者(認知症治療薬の処方患者を除く)。調査方法:服薬指導時の聞き取り調査(患者本人のみ、代理人交付時は除く)。調査機関:2ヶ月。対象薬剤:アムロジピン製剤4剤、タムスロシン製剤4剤、ボグリボース製剤3剤、抗アレルギー剤5剤。
結果 調査総数:767人。拒否数:90人。実施率:88%(677人/767人)。
1.OD錠を認知している割合は調査総数の24%(163人/677人)。
2.水なしで服用している割合は調査総数の6%(39人/677人)。
3.OD錠を単独で服用する患者で、水なしで服用する割合は15%(26人/175人)。
普通錠と併用する患者で、水なしで服用する割合は3%(13人/502人)。
考察 患者のOD錠の認知度が低い事は、薬剤師の情報提供不足が挙げられる。今回の調査でOD錠を認知し、水なしで服用を希望する患者も見られた事から、薬剤師は薬剤の適正使用における正確な情報提供を実施していくべきだと考える。また、OD錠の服用方法は、併用薬の存在が大きく影響する事が示唆され、普通錠を併用する場合、OD錠の存在価値は低く、単独で服用する薬剤の方が、OD錠としての有用性は高いと推測される。今回の調査結果から、OD錠の需要が高くない事が判明したが、OD錠の有用性を否定するものではない。嚥下困難や水分制限のある患者に対する、OD錠の有用性が高い事は明らかであり、今後さらに高齢化社会が進むにつれ、OD錠の開発は推進されていくべきだと考えるが、OD錠と普通錠の併売については疑問を呈する。OD錠の供給に一本化すれば、調剤過誤のリスクを軽減させる医療側の利点が生じると共に、服薬におけるOD錠と普通錠の混在が回避される事で、患者の服薬における利便性も向上するものと考える。

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