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保険薬局で応需する処方せんの検査値の有効活用調査

学会

2016年6月5日

大会名 第19回日本医薬品情報学会総会・学術大会
会期 2016年6月4日・6月5日
会場 昭和薬科大学
演題名 保険薬局で応需する処方せんの検査値の有効活用調査
発表形式 口頭発表
著者名 塚本 賢児、德山 智治、渡邊 江梨子、熊野御堂 悠、坂本 豊伸、森永 まり子、木戸 宏幸、今里 泰、湯川 栄二、天方 奉子、稲葉 一郎
目的 最近検査値を処方せんに記載する医療機関が増加しているため、保険薬局で応需する処方せんの検査値記載状況を調査し、有効に活用する方法を考察した。
方法 平成27年4月、同10月に阿蘇中央薬局で応需した処方せんの検査値記載率を調査し、検査値が記載された処方せんのうち、ハイリスク医薬品の添付文書に記載された警告、重要な基本的注意、禁忌、重大な副作用でチェックすべき検査値を集計した。
結果 検査値記載率は平成27年4月が34.3%、10月が40.7%であり、実際に検査値を利用できた処方せんの割合はそれぞれ63.8%、58.6%であった。特に注意を払う必要がある警告に関しても平成27年4月では28件、10月では51件のチェック機会があった。禁忌に関しては4月が226件、10月が300件のチェック機会があった。また、個別の症例ではPT-INRの検査値を確認することにより、処方せんに記載された薬の用量変更の間違いに気付き、疑義照会で処方量が訂正となり、適正な薬物治療を行うことができたケースもあった。
考察 今回の調査では死亡事故にもつながる警告が多い月で51件、禁忌も300件の頻度でチェックでき、患者の安全な薬物治療に貢献できることがわかった。実際に検査値を確認することで疑義照会を通して患者に適正な用量の薬を渡すことができた症例もあった。また、実際の臨床現場ではハイリスク医薬品以外でも検査値を活用した症例が多く存在し、活用の幅は広いことがわかった。検査値を確認することで処方薬や用量について適正かどうか判断しやすくなり、具体的な根拠をもって疑義照会が行えた。また、検査値の推移を確認することで処方薬の効果を具体的に判断することができ、患者のアドヒアランス向上に役立てられた。さらに、患者の健康状態の変化を感じ取ることで、よりよい服薬指導が可能となった。検査値を用いて減薬などの医師への処方提案や多職種への患者情報の提供を行うことが、医療経済、地域包括ケアへの保険薬局薬剤師の有用な参画手段となるのではないかと考えている。

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