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残薬調整によるアドヒアランスの検討

学会

2017年9月19日

大会名 第78回九州山口薬学大会
会期 2017年9月17日・9月18日
会場 シーガイアコンベンションセンター
演題名 残薬調整によるアドヒアランスの検討
発表形式 ポスター発表
演者名 近藤 優樹、矢敷 潤、櫻井 瞳、田代 泰理、長尾 尚俊、東島 彩香、水町 隆平、河野 吉昭、香月 信一郎、木戸 宏幸、湯川 栄二
目的 患者のアドヒアランス不良は症状の悪化を招く要因の一つとなるため、薬剤師による服薬継続支援は必要不可欠である。アドヒアランスの指標の一つに治療日数カバー比率と呼ばれるProportion of Days Covered(以下、PDC)がある。PDCとは、本来飲むべき日数を分母、飲んだ日数を分子としてその割合を示したもの、つまり処方レジメンどおりにどれだけ服用したかの指標であり、値が高いほどアドヒアランスが良好であることを意味する。今回はPDCが80%を下回る薬剤を抽出し、アドヒアランス不良の要因を検討した。
方法 平成28年4月1日から平成28年9月30日までの期間、潜竜調剤薬局で重複投薬・相互作用等防止加算(以下、防止加算)の算定を行った処方の中で、残薬調整により算定した処方を薬歴より検索した。対象期間中に1回残薬調整を行った件数と、複数回の残薬調整を行った件数を調査した。処方された主な診療科目は内科、整形外科、皮膚科が多く見られ、残薬調整を行ったものはすべて内科と整形外科によるものであった。複数回の残薬調整を行った患者については、残薬調整を行った薬剤毎にPDCを算出し、80%を下回る場合をアドヒアランス不良と判断した。ただし、緩下剤や睡眠導入剤などの調節服用する医薬品は除外した。
結果 調査期間の処方せん受付回数は7,011件であり、残薬調整による防止加算算定件数は102件(1.5%)であった。残薬調整を行った85名の中で、単回の残薬調整は71名(83.5%)であった。このうち、期間中は初回の調整以降、残薬が発生した患者はいなかった。複数回の残薬調整を行った14名(16.5%)のうちアドヒアランスの検討が困難な事例(入退院を繰り返して定期的に薬局に来局されない例など)の3名を除外した11名を対象に、残薬調整を行った薬剤毎のPDCを算出した。対象薬剤は40品目であり、このうち24品目(60%)はアドヒアランス良好、16品目(40%)はアドヒアランス不良という結果となった。アドヒアランス不良の詳細は、食後過血糖改善剤や漢方薬の残薬が多かった。
考察 アドヒアランス不良の要因として、食直前や食前服用の薬剤の残薬が多いため、食後と異なる用法に対する服薬の意識に差があるのではないかと考えた。今回の結果から、残薬調整を行うことでアドヒアランスの改善に繋がるとは一概に言えないことがわかった。今後、改善策を立てて服薬指導を行うことで、アドヒアランス向上に努めたい。

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