血糖コントロール不良の2型糖尿病患者に対して保険薬剤師が行う生活習慣指導の効果
学会
2017年9月20日
2017年11月19日追記
この演題は第45回熊本県薬剤師会学術大会においても発表され、優秀発表賞を受賞しました。
大会名 | 第78回九州山口薬学大会 |
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会期 | 2017年9月17日・9月18日 |
会場 | シーガイアコンベンションセンター |
演題名 | 血糖コントロール不良の2型糖尿病患者に対して保険薬剤師が行う生活習慣指導の効果 |
発表形式 | ポスター発表 |
著者名 | 穴見 江梨子、坂本 豊伸、尾脇 まり子、熊野御堂 悠、德山 智治、塚本 賢児、羽田野 桂史、轟 幸泰、天方 奉子、稲葉 一郎、今里 泰、木戸 宏幸、湯川 栄二 |
目的 | 2型糖尿病(以下、糖尿病)は、食生活の乱れや運動不足などが原因となる生活習慣病のひとつである。糖尿病治療を行っている患者の中には、服薬アドヒアランスが良好にもかかわらず、血糖コントロールの不良な患者がみられる。そこで保険薬剤師が服薬指導だけでなく生活習慣の改善指導を行うことで、血糖コントロールを改善できないか検討した。 |
方法 | 服薬アドヒアランスが良好にもかかわらず血糖コントロール不良の糖尿病患者を5人抽出し、来局時に独自のアンケートを行うことにより食生活や運動量を調査した。次に再来局時、「間食を止める」、「休肝日を作る」など血糖コントロールを改善するための食事の工夫や運動習慣を17項目挙げ、その中から患者が実践できることを選択させた。その後、アンケートや実践内容に基づいて毎回同じ薬剤師が服薬指導と生活習慣指導を行い、介入前後の患者のヘモグロビンA1c(以下、HbA1c)を比較した。 |
結果 | 生活習慣指導介入後、処方変更がなかった2人のHbA1cが減少した。1人は介入前HbA1cが7.4%だったが、3か月後に6.7%に減少した。もう1人は介入前HbA1cが9.4%だったが、5か月後に6.9%に減少した。しかしその後熊本地震が発生し、4人のHbA1cが増加した。 |
考察 | 保険薬剤師が糖尿病患者に対して、服薬アドヒアランスの向上に努めるだけでなく、生活習慣指導を行うことで、糖尿病治療に大きく貢献できると考えられる。また、同じ薬剤師が継続して指導を行うことで、食生活や運動習慣を詳しく聴き取ることができ、それに合わせた指導を行うことができた。しかし、災害により従来の生活ができなくなると、血糖コントロールが難しくなることが推察された。今後、糖尿病をはじめとする生活習慣病に関して、保険薬剤師が服薬指導だけでなく生活習慣指導することで、治療効果の向上が期待できる。また災害時はストレスや食生活の乱れなどにより血糖コントロールが不良となる可能性が高く、保険薬剤師による生活習慣指導は工夫が必要であると考えられる。 |