グローバルな視点から今後の薬局・薬剤師の機能強化について考える ~2040 年、日本の薬局・薬剤師のあり方を展望する~
学会
2024年7月19日
大会名 | 第17回日本在宅薬学会学術大会 |
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会期 | 2024年7月14日~7月15日 |
会場 | 出島メッセ長崎 |
演題名 | グローバルな視点から今後の薬局・薬剤師の機能強化について考える ~2040 年、日本の薬局・薬剤師のあり方を展望する~ |
発表形式 | シンポジウム |
演者名 | 木戸 宏幸(Chemist and Pharmacist) | 要旨 | 2018年10月に厚生労働省(以下、厚労省)に「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」が設置され、団塊ジュニア世代が65歳以上の高齢者となる2040年を見据えた検討が進められてきた。2023年9月の総務省の報道発表によると、高齢者人口は1950年以降初めて減少に転じたが、総人口に占める高齢者人口の割合は29.1%と過去最高を記録している。2040年には高齢者人口の割合は約35%になると推計される一方で、現役世代は急減するため、「総就業者数の増加」とともに、「より少ない人手でも回る医療・福祉の現場を実現」することが必要であるとされている。厚労省では、今後誰もが、より長く元気に活躍できるよう次に示す4つの取り組みが進められることとなった。①多様な就労・社会参加の環境整備 ②健康寿命の延伸 ③医療・福祉サービスの改革による生産性の向上 ④給付と負担の見直し等による社会保障の持続可能性の確保 といった取り組みだ。 このような社会情勢の中、厚労省が2020年に発表した薬剤師の需給推計によれば、2045年に薬剤師は最大12万6000人過剰になると予想されている。また、世界から日本を見れば、OECD(経済協力開発機構)加盟国38カ国の中で人口1,000人あたりの薬剤師数は世界1位(※データなしが9カ国あり)である一方で、医師数はワースト4位(※データなしが8カ国あり)となっている。現在、薬物療法が高度化する中で、患者の在宅医療や介護サービスの需要は増加し、患者の動向も入院から外来、 外来から在宅医療へとシフトチェンジが起こっている。薬局・薬剤師には、このような状況の変化に対応し地域包括ケアシステムを担うメンバーとして、医療機関等と連携しながら、その専門性を発揮し患者に安全かつ有効な薬物療法をシームレスに提供する役割が求められている。また、2024年4月からは医師の働き方改革の新制度が施行され、ますます医療現場での人手不足には拍車がかかると予想されている。 以上のような状況を鑑みれば、欧米のように薬局・薬剤師の機能及び業務を強化してもいいのではないだろうか。現に、欧米に限らず近隣の ASEAN(東南アジア諸国連合)においても、日本より専門性が強化されているようだ。今まで十数カ国の薬局を視察してきた経験をもとに今後の薬局・薬剤師のあり方について考えたい。 |
該当シンポジウムの木戸の講演内容はCHEMISTオンラインコミュニティのホームページにて動画を視聴可能です。