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プロパデルム®軟膏ならびにリンデロン®V軟膏とヒルドイド®ソフト軟膏混合状態における物性評価

学会

2016年10月9日

大会名 第49回日本薬剤師会学術大会
会期 2016年10月9日・10月10日
会場 名古屋国際会議場
演題名 プロパデルム®軟膏ならびにリンデロン®V軟膏とヒルドイド®ソフト軟膏混合状態における物性評価
発表形式 ポスター発表
著者名 德山 智治、今里 泰、木戸 宏幸、湯川 栄二、庵原 大輔、平山 文俊、天方 奉子、稲葉 一郎
目的 プロパデルム®軟膏(以下、プロパデルム)(一般名ベクロメタゾンプロピオン酸エステル)は原料供給困難のため、平成27年8月で製造中止になり、平成28年3月で経過措置が終了となった。同剤はプロペト®やヒルドイド®ソフト軟膏(以下、ヒルドイド)と混合するケースが多いことから、その代替薬として今回プロパデルムと同ランクのリンデロン®V軟膏(以下、リンデロン)とヒルドイドの混合物を調製し、その物性比較を行った。
方法 冷蔵庫(4℃)、室温下(25℃)、加速条件(35℃・75% RH)でプラスチック製の軟膏容器で12週間、気密保管した。写真による外観変化観察、レオメーター(MCR-101、Anton Paar Japan K.K)を用いたレオロジー測定を行い、リンデロンとヒルドイドの混合物では高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLC)によるステロイド残存率測定も行った。
結果 レオロジー測定では、せん断速度の上昇に伴い各軟膏の粘度は低下した。リンデロンとヒルドイドの混合物の粘度はプロパデルムとの混合物よりも少し低い値を示した。しかし、それぞれ保管期間に関わらず一定値に収束したことから、保管による粘度変化は小さいことが示された。外観変化では、加速条件下8週目からリンデロンとヒルドイド混合物に表面の分離が観察された。一方、リンデロンとヒルドイドの混合物についてHPLCで測定を行ったところ、25℃と35℃では1週目から分解物のピークが検出され、時間経過とともに増大したが、4℃ではこのピークは観察されなかった。
考察 リンデロンとヒルドイドの混合物では表面の分離が観察され、粘度も低かったが、塗り心地は問題ないと思われる。しかし、ステロイドの残存率測定では保管条件によって違いが生じたことから患者への保管法の指導は重要であると考える。リンデロン中のベタメタゾン吉草酸エステルは17位にエステル基を持っており、混合による基剤のpH変化などによって21位へ転位することが知られており、今回の結果もこれが影響していると考えられる。皮膚外用剤の混合は患者の利便性を考慮して行っているが、いまだに基剤や剤形の特性を理解せずに安易に行っているケースが多数あるのが現状である。適正な混合に努めることが薬剤師の職務であり、今回の研究で根拠に基づいた情報提供を医師へ行うことで、結果的に患者の利益に繋がると期待できる。

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